速読に挫折した人にすすめたい
『遅読家のための読書術 情報洪水でも疲れない「フローリーディング」の習慣』
(ダイヤモンド社:印南敦史著:2016.2)
タイトルからして「速読」という単語を使っていないところから、通常の速読本とはちょっとズレた市場を狙う意図が見えますが、結論から言うといい本でした。
「読むのが遅いと悩んでいる人も早く読めるようになりますよ」
という趣旨で書かれており、文体も読みやすい。
実際に読んでみた感想として、拾い読みしながらいくつかの手法と試してみたら
「あ、これ簡単」
て感じでとっつきやすい内容でした。
難しい事は何もありません。
ちょとした意識の変化とメモを取る事。
最終的にはこの二つで成立するやり方かな、と思います。
熟読の呪縛から抜け出す
意識の変化について「まず熟読をやめよう」と言います。
本の内容を全て頭に叩き込む必要はない。一字一句余す事なく追っていくのは「熟読の呪縛」であり、そこから自由になる事が最初の一歩という事です。
本文中では「音楽を聴くように本を読める」状態がゴールだと言います。
音楽ってカラオケで歌うために覚えようとして聴いてることもあるとは思うけど、大体はただ聴いて楽しむもの。そしてサビのメロディやフレーズが自然と心に残っていく。こんなふうに本が読めたらいいよね、という訳です。
フローリーディングのススメ
さて、その実践として著者は「フローリーディング」という言葉にまとめています。
フローリーディングとは
・多読の習慣化。
・早く読める本を選ぶ。
・読書は呼吸。読むと書くの平行。
・流し読みのルール「サーチ読書法」。
・目次は熟読。全体の「見出し構造」をつかむ。
・ていねいに読む部分を見つける「キーワードサーチ法」。
・読むスピードに緩急をつける。
箇条書きしちゃうとこんな感じ。
二つ目の「読むと書くの平行」ここが掴みやすいところかなと思います。
要するに「読んだら書こう」ということで気になったところを書き写しましょう、と。
著者は一行または数行で書ける部分を残していくのを勧めてます。このあたりは早い人なら2冊目、3冊目くらいから感覚を掴めるんじゃないかなと思えます。まあこの辺は僕の勘ですが。
詳細は本文を見てもらった方がいいでしょう。
本の選び方
ありがたいことに小説や詩のようなものは「速く読めないもの」として切り分けて考えてますね。物書きとしては助かります。
・読書プランを立てる。
・ジャンルにこだわらずマンネリを避ける。
・選ぶ場所を広げる。図書館、古書店、リアル書店。
ざっとこんなかんじなのですが、
大事な考え方として車の話を例えに出しています。
最近、「MaaS(Mobility as a Service)」が聞かれるようになりましたが車の世界では「所有から使用へのシフト」が起きています。詳しくはググりましょう。
本も同じように考えて
「本当に手元におきたいものだけを残し、それ以外は溜め込まない」
という意識で3ヶ月に一回は本棚を整理しよう、といいます。
まあこの辺りはそもそも、それだけ本を所有している人向けですかね。
できるところから始めるだけで誰でも速読への一歩が踏み出せる、そんな一冊だと思いました。
遅読家のための読書術
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