ウイルス時代のレファレンスについて考える

所見
Mystic Art DesignによるPixabayからの画像

コロナウィルスによる社会構造の変革は免れようがなさそうだ、
と多くの人が思い始めています。であればより早く、次の時代に
適応できる人がこれから先は重宝されていくのでしょう。

私は以前図書館で都合10年ほど勤務していました。
資格を取り、内8年を司書として活動していたのですが、
さて未来における司書の仕事とはどのようなものか、
そういうことを現役時代からあれこれ考えていたものです。
「10年後にはこの仕事なくなるかもしれない」
そんな危機感。
AIが司書の仕事も代替することが可能だろうと
数年前から感じていたからです。
正直なところ、司書業務のなかで人間でなければできない仕事は
もうあまり残されていません。

現役の司書からすればまだまだ反論が強いと思いますが
反論の際たる例としてあげられるのがレファレンスだと思います。

レファレンスに関してはまず一般への認知がほぼ無い。
アンケートの結果などを見ても存在を知らない人がほとんどという
状況があり、自治体が改善を試みても成果が出ない状態を見てきました。
レファレンスとは「調べ物のお手伝い」という看板を出してるところも
あって、調べ物=リサーチを実行するものではありません。
「調査に必要な資料を紹介する」のがレファレンスです。
司書は相談者の「こういうことを調べてるんだが良い資料はないだろうか」
というような質問を掘り下げて、それに適合しそうな資料を探して提供します。
この流れがインターネットの普及とともに既に変化してしまいました。
相談者はほぼ初めから自分で調べて「この資料が探しても無い」という状態で
やってくるのです。この後の流れもいろいろありますが長くなるので省きます。

要は、むかしは司書の知識や専用のシステムでしかできなかったことが、
いまはインターネットで検索して誰でもできる状態になってしまった。
ということが言いたいのです。

また、図書館の中で本を探している人に対しても、図書館システムの発展によって
検索から該当する書架の場所まで自力でたどり着けるようになっています。
(もちろんそのご案内の手伝いは積極的にやるのですが)

というわけでレファレンス業務の大半はすでに機会がフォローできています。
もしすべての図書資料が電子化されて、内容のテキストまで検索可能な状態
になってしまったら、司書の仕事からレファレンス業務は消滅するでしょう。

さて、ここから本題なのですが
「それでいいのか?」というあえての疑問とウィルス蔓延るリモート時代を
想定して「オンラインレファレンスはリモートで可能か」ということを考えました。
これ、現時点では図書館そのものが閉鎖されてしまっていますが、非常事態宣言直前の
「窓口のみ運用継続の状態が恒久化すること」を想定してます。
非常事態宣言終了後もソーシャルディスタンスは継続すると思われるからです。
人員過剰に陥った図書館はいずれリストラの対象になり司書が世にあぶれます。
司書の能力をリモートで生かそうとしたら……

でも「お調べ物の相談受け付けます♪」とかSNSでやったとしても
検索するだけじゃあ実際の資料の内容がわからない。
結局膨大な資料が手元にないと難しい。

こう考えていくと結局お手上げなので、私の結論は
「相談を事前に想定してあらかじめ答えを用意しておく」です。
分かる人にはわかるように言ってしまうと、
「パスファインダーを色んなバージョンで作っておく」となります。
擬似的なレファレンスを先取りしてしまおう、ということです。
司書という立場を前面に出し、自分の専門分野、得意分野などで
これと思う資料をテーマごとにブログなどで公開しておく。
「〇〇を調べるならこの3冊!」みたいな感じで。
多くの司書がこれをやると、多様性も担保できる。
まあ、そんなにアクセスが稼げるわけでもなさそうですけどね。
最初に言ったけど、みんな「自分で検索するわ」ってもう
今でもなっちゃってますからね。
こうなると読了後の感想なども含めて紹介できるYouTuberみたいの
が生き残る感じかなあ。
結論、やっぱり難しい。

あれこれ考えましたが、図書館自体が電子書籍の貸出をメインに
する可能性もあるので、司書はやっぱり今後の身の振り方は
考えておくべきです。

それでは。

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