知られざる重労働【図書館の仕事】は意外と大変

図書館

非常事態宣言の解除ならず、それでも一部の施設は自粛を緩和(変な日本語)
されていくというお話が流れてきました。
その中に図書館が含まれていたわけですが、元司書としては
これちょっと気になるんです。

以前こんなことを聞かれました。

年配の婦人
年配の婦人

「こういうところでお仕事するのは、どこで申し込めば
いいんでしょう。ゆったりとしていて、いいですよねえ」

胸の内で「おいおい」と思いながら丁重に求人サイトを
お探しいただけるようご案内しましたが、これが世間のイメージなの
だなあと改めて思う出来事でした。

かなり誤解があると思うのですが、
図書館の仕事ってけっこう大変なんですよ。

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図書館への世間のイメージ

図書館に対する一般的な世間のイメージって、こんな感じでしょうか。

静かな場所で落ち着いた環境

図書館は静かな場所で、落ち着いた雰囲気の中、好きな本に囲まれて
黙々と読書を楽しんだり
ノートを広げて集中して勉強したりできる

スキマ時間に読書もできる

図書館で仕事をしていたら、そもそも忙しそうじゃないし
本を棚に戻す時ついでに読書もできる
本好きには最高の場所


これ、働いてる人間にはまったく当てはまらないんですよ。
少なくとも東京の図書館で働く分には間違いですね。

図書館に来る客(利用者)

図書館は公共施設です。
誰でも出入りできます。
無料です。
誰でも自由に出入りできます。

お年寄り

言わずもがな、来館者の大半がお年寄りです。
毎日(毎日)開館前に入り口で行列を作り、先を争います。
いい席の確保、新聞の確保、定位置の確保、目的はそれぞれです。
時には新聞を争ってイザコザもおきます。
本当に毎日くるし、こういった方々の中にはご自身を
「図書館ご意見番」と自覚してしまっている人も多いです。

ちょっと清潔とは言い切れない人たち

お家のない方が大きな荷物を持ち運びながら出入りします。
公共施設なのでそれは別にいいんですが、稀に匂いが強烈だったり、
ご意見番から苦情が入ったり、そもそも利用のルールを守ってくれなかったり
いろんなことが起きます。
こういったことに対応するのも仕事のうち。

変な人たち

わかりやすく迷惑なのがクレーマー。
こちらのミスならしょうがないけれども、明らかにイチャモンの類
でしかないことを延々と攻め立て続ける暇な人がいます。

迷惑かどうかは置いておいておかしな行動をする人もいます。
床の上でクロール(水泳)を始めたり
白い壁に至近距離で向き合って誰かに小言を言い続けたり
新聞をばーーーーと床に広げて広範囲を専用エリア化しようとする人

人それぞれ事情はあると思いますが、お世辞にも清潔とは
言い切れない状態で入館される人、
服が破れていて陰部がはみ出してる人、

こういったことに対応するのも仕事のうち。

図書館職員は低賃金(非正規)で体力勝負

引越しのとき、本を詰めた段ボールの重さ、ご存知ですか?
一冊一冊はたいした重さじゃないですが、図書館では1日に
少なくとも数千冊の図書資料が借りられたり返却されたり
していきます。一日中それらを持ち運んでいるわけです。
けっこう腕にきます。

そして正規の職員さんと非正規のスタッフでは待遇が天地の差です。
詳しくは言えませんが、非正規の賃金は本当に低い。
好きでなければ続きません。
長く勤めている人はこの条件でも続けていける極度の本好きだったり
他の収入源で生活が満たされる人がおおいですね。

体力面は徐々に慣れていくことができますが、
低賃金はそこそこ上に行ってもきついです(体験談)。

東京の図書館は異常:まとめ

さてここまでの話、地方では状況変わるのかもしれません。
私の体験談はおもに都心の話です。聞いたところでは
「東京だけおかしい」という話もあり、地方ではのんびりできる
ところもあるのかもしれません。
私の見たところでは概ねこれまで述べたような状態なのです。

さて、図書館のお仕事についていろいろとお話しましたが、
今回の自粛緩和について、正直なところ働く人たちには大変な
ことかなと。
もちろん多くの人たちが望むことであり(自粛暇すぎる)
せめて読書で新しいことに触れたかったりこの時期に新しい
ことを学んでみたかったりという世情的願望もあるでしょう。

ただ、働いている人は多くの不特定多数の利用者に対応します。
貸出はともかく返却された本はどんな人が触ったものかわかりません。
手渡しで返却されたものにウィルスがついているんじゃないか?
そんなことを感じながら神経質な勤務にもなっていると思います。
こまめに手を洗って……と思うでしょうが、上で述べたとおり、
一人が1日で数千冊を扱います。手を洗いすぎて荒れちゃったりします。
働いている人は大変なんです。
もしお近くの図書館が開館したら、そこで働く人たちのことを
お気遣いいただけたら幸いです。

こんな図書館で働けたらいいなあ、というところが舞台の小説など。
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それではまた。

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