『知能はもっと上げられる 脳力アップ、なにが本当に効く方法か』 定価:2,000円(税抜)
(インターシフト:ダン・ハーリー著、渡会圭子訳:2016.4)
キーワード
流動性知能、作業記憶、マインドフルネス
結論は端的
この本のテーマは
「人間の知能は人為的にあげることが可能か」
という点にあるのですが、
著者はこれが可能であることを証明するために試行錯誤する
という内容となってます。
結論としては「知能はトレーニングで向上する」
としていますが、その前に
「知能とは何を示すのか」
「何が有効なトレーニングとして認められるのか」
という探索段階から順を追う構成となっています。
少し読みにくいのは、実際にトレーニングを開始してから
結論に至るまでに長い長い余談があり、
最後の最後でトレーニングの成果を数値で示しているのですが
それが数行で終わっているという
あちらの科学系一般書籍にありがちな
著者の活動紹介部分の冗長さがあるところでしょうか。
ここだけで100ページほどのボリュームです。
読んでるうちに肝心な本筋を忘れそうになってしまうので
速読的な読み方をしておかないと
途中で何言ってるのか解らなくなってきます。
確実に効くトレーニングとは
トレーニングで有効な手段として挙げられたのは
- 運動
- マインドフルネス瞑想
- ゲーム
- 音楽
- ニコチンパッチ
- コーヒー
です。
最後はトレーニングでもなんでもないですが笑
ここでもマインドフルネスか、という感じです。
万能すぎる(笑)
運動が有効ということで著者は実際にライザップを開始します。
瞑想はスケジュール関係で挫折。
ゲームは脳力向上を目的に開発されたもので30分程度を毎日継続。
音楽は聴くだけでなく演奏に挑戦するのが有効ということで
実際に「リュート」という楽器を習い始めます。
3ヶ月継続して特定の知能テストを前後に実施し
トレーニング後に16パーセント以上の向上が見られた
ということでした。
却下されたけど面白いウンチク
どの手段が有効かといろいろ試して試行錯誤する段階で
いくつか面白いものがありました。
ニコチン
ニコチンと聞いて思い出すのはタバコですが
タバコが有害なのはニコチンがあるからではなく、
「他の色々な成分等含めた上で中毒性があり危険」
てことでニコチン単独では
そうではないのだそうです。
むしろ
「ニコチンが認知能力を高めることは正式に認められている」
実際にパーキンソン病、ADHD、統合失調症の治療に効果がある
としてニコチンパッチが使われていますが、
ただしこのニコチンパッチ、
禁煙には効果がない
のだそうです……
FPS
ゲームの話です。
FPSを長くプレイしている人は
「視覚注意処理能力」
の向上が見られるらしい。
「実行制御と注意力をコントロールする能力が
知能の決定因子だとすると、ゲームは人の頭をよくします」
常に選択を迫られ、余分なものを排除する
即座に行動に移す
こういったことを繰り返し要求されるゲームが
脳に影響を与えると言われると、「確かに」と思えてくる。
なお、
著者はこのゲームについてはその暴力性を理由として
トレーニングには採用しませんでした。
で? っていう話
結局は全部どこかで聞いた話で、
結論としては「ふむふむ」という感じで受け止められるのですが
じゃあどれだけの人がこれを実践に移すだろう、
続けられるだろう、
と考えると
(ほとんどの人は続けられないんだろうなあ)
と思ってしまったわけです。
ブログを書くのも小説を書くのも
成果が出るまでに地道な努力を要するものって
大体が続かないんですよね。
ということは……
「どうやったら続けられるのか」
という、これまたよく耳にする永遠のテーマが
浮かび上がってきてしまった
というのがこの本を読んだ結果として
自分に残ったものでした。
生活の中にちょこちょこ取り込むことができれば
楽して継続できるかもですね。
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知能はもっと上げられる : 脳力アップ、なにが本当に効く方法か
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